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以上のような点を申し上げた上で、具体的に今の政府がどうなっているのか何をやっていくべきかいう事を議論していかなければいけないのですが、その入口の段階で、1つ皆さんに申し上げておきたい事があります。
それは先ほどの座標軸に関連するのですが、今回の日本が直面している危機の本質をきちっと、共有しておこうではないかという事です。日本は今、いろんな意味での困難危機に瀕している。世界は特に原子力放射能の問題なんかを大変厳しく、みているわけなんですけれど、私はあえて言うならば、今私達が直面している事は、複合連鎖危機であると、考えなければいけないと思います。複合連鎖危機。コンパウンドエンドインターリンクトクライシストト。 つまり、地震と津波がきっかけでした。その結果、原子力発電所がやられて電力不足なる。電力不足になって、計画停電のやり方が少しもたもたして、それで、混乱が大きくなる。放射能が出てくることによって、農作物が影響を受ける。この影響がエプテーションディスク風評被害を生んで、京都のお茶までもフランスに輸出できなくなる。いろいろ連鎖的に問題が起こってきます。
あちらを立てれば、こちらが立たなくなるかもしれない。今後、かなりの財政拡大を財政支出を政府のお金を出さなければいけないけれども、このやり方を下手に間違えると今度は財政危機になるかもしれない。金融をしっかり出さなければいけませんけれども、金融をうまくやらないとこれがモラルハザードを起こすかもない。
これがたとえば、福島のプラントの中ですら、同じようなこういうようなジレンマが起こるわけです。冷やさなければいけない。だから、水をかける。これをやらないといけない。しかし、その水が放射能を含んで汚染水になっているので、あちらを立てれば、こちらを立てないかもしれない。こういう状況に直面しているのだと、これが私は基本認識であると思います。
ですから、これは復旧と復興とそしてその後の改革と一体化してシームレスに強いリーダーシップの元で行わなければいけない。そういう事に当然なるんじゃないかと思います。まず、復旧で第1補正やって、その後で、時間をおいて、第2次補正をやる。そういう事ではないと私は思います。最初から何度も言います。農業はTPP対応型農業にしなければいけないのです。
しかし、菅さんはこういう状況だから、TPPの結論を先送りすると言うのです。逆です。TPPを先送りするのではなくて、TPP対応型の農業にするという事をやらなければいけない。これが複合連鎖危機であるという性格を認識して、復旧、復興、改革をシームレスに行っていくという事です。そのためには、強い政治のリーダーシップの元で、やはり強い復興体制を作らなければいけません。
今、その復興体制を作るための法律が国会で審議されています。復興対策本部を作る。震災からどれだけの時間がたっているでしょうか。
1995年の阪神淡路大震災。震災の翌日に復興本部を作る事がすでに発表されて、それから3週間後には実際にこういうのが出来るのです。今もう2ヶ月半くらい経とうとしてる中で、ようやく、最初の法律が議論されている。阪神淡路の時だって、復興から40日経った段階では、1次補正が通っただけではなくて、11本の法律がもう通っておりました。これだけの大きな震災が起きて、そしてこれだけの複合が新しい複合タイプが起きているのに、この遅さはいったい何なんのかとその上で、第2次補正を8月に先送りにする。
なかなかすごい政治だと私は思います。それに対して、十分なマスコミのチェックも十分できていない。先ほども言いましたように、今までの私達がやって来た震災対策がその物の中では評価できるものはたくさんある。そういうところを世界が見ているんです。にもかかわず、今回この1番重要な局面で、政策がここまで遅い、と言うところが私の気になるところであります。
この本質を理解した上で、どのように対応するかと言う事に対して、もう1つ申し上げておかなければいけないと思います。それは、かなり大きな災害でありますから、大胆な事をやらなければいけない事は事実です。大胆な対策をとらなければいけない。しかし、大胆な対策といい加減な対策は違う。大胆な対策を思いきってとらなければいけないけれども、それはあくまでも、基本に忠実 でなけらばならないと言う事だ思います。
このような状況の下で、基本を外す、まさに座標軸から離れたような政策をとると、そのものの被害がかなり大きくなるのだと私は思うのです。
例えば基本ってなんでしょうか。それは、関東大震災の教訓ですけれども、あの時何が起こったか、大変有名な事がありました。経済政策として。
震災手形を日銀が引き受けました。ただ、今回も日銀引き受けを国債を発行して日銀引き受けをやれという議論がありますが、私は日銀引き受けには反対です。そもそもそんな事やる必要はありません。後から言いますけれども、今回も震災に復興の為に使う政府のお金はびっくりするようなお金ではないのです。びっくりするような大きなお金だったら、1つの大胆な政策として日銀が何かするのはあり得るかもしれません。しかしそれではない。
むしろ、関東大震災の時も、震災手形を日銀が引き受けをして、一見金融が回ったように見えるわけですけれども、こういう事をすると必ずモラルハザートが起きますから、必ず、一部の政商がこれを使うわけです。そして実際その時もそうなって、それが後の昭和金融恐慌の引き金を引きます。やはり、基本に忠実な政策をやらなければいけないという事なんだと思います。
それに関連して今日、最も、皆様に訴えたいと事の1つが、この財源をこの復興の為の財源をどうように調達するのかという問題です。
まず、大枠を考えましょう。いったい、どのくらいのお金がいるのでしょうか。今回、驚くべき、早い早さで政府が発表をした1つの数字があります。震災から2週間後にどのくらいの被害額が出てるかいう事を内閣府が試算しています。これは私はびっくりしました。2週間でこういう数字が出るというのは、びっくりしました。結論から言います。最大で25兆円の損失。最大で。これは物的な損失でありますので、道路がなくなった。橋がなくなった。つまりインフラがなくなった。そして住宅がなくなった。そして、民間の工場施設がなくなった。つまり固定資本がなくなった分の最大時が25兆円です。この数字は阪神淡路大震災の時は 約10兆円でした。
日本のGTPは、500兆円ですから、阪神淡路の時の日本の資産の2%がなくなった。今回は5%がなくなった、という計算になります。25兆円ですから、5%がなくなったという計算になります。つまり、このうち国の施設、インフラは9兆円です。16兆円が民間です。大部分が民間です。これはいずれにしても復旧していかなけばいけないし、この為のお金がいるのは、間違いありません。阪神淡路大震災の時は補正予算をどのくらい使ったのでしょうか。3回の予算、補正に分けて3.3兆円使いました。3.3兆円使ったのです。阪神淡路大震災の時は。
さっき言ったように損害は10兆円に対今度は25兆円ですから、2.5倍です。今度はしかしスケールは大きいし、原子力の話がありますから、2.5倍というわけにはいかない。3倍でしょうか、4倍でしょうか。3倍だとすると10兆円、4倍とすると、12兆円。10兆円強のスケールのお金を政府は補正予算として用意しなければいけないという事になります。これは大まか見積もりです。12兆円だと考えますでしょうか。すでに第1次補正予算5月1日に通っておりまして、そのお金が4兆円でした。第2次補正予算は10兆円近いものが、必要だという事になります。これが私達が目指していくマクロの枠組みです。さあ、この10兆円ないし12兆円を皆さんはどのように調達するばよいと思いますでしょうか。
アンケート調査によれば、 国民の6割か7割はこれについては国民が負担することはやむを得ない、復興税は必要であるという風にいっております。
参考までに皆さんの中でこういう場合、やはり復興税の形で国民が出すのは、やむを得ないと思われる方はどのくらいいらっしゃいますでしょうか。私に遠慮なさらないで。
私は反対だと後で、申し上げます。
私が、このような形で復興税をとるという事に関して、2つの意味で反対します。そもそも、座標軸というか本質論としておかしい。なぜならば、これは10兆円といいますけれど一時的なお金なんです。
今年12兆円補正予算。それは終わりです、来年はありません。今年、復興の為の道路を作ったら、来年作らなくていいのです。だから一時的な支出なんです。一時的な支出の為に税金を集めるべきかどうかという事です。これは毎年毎年10兆円超えたら、たくさんのお金がかかるという事であるならば、つまり恒久的な支出であるならば、恒久的な財源が必要がでしょう。恒久的な財源としてはこれは税しかない。だから、恒久的な支出に関しては税が必要だ。しかし、一時的な支出でありますから、税は必ずしも必要ないのです。
一時的な財源をもっておけばいいんです。一時的な財源ってありますか。あります。いわゆる、埋蔵金があります。
国債整理基金に今12兆円あります。あれを使えばいいじゃないですか。民主党がなし崩しにやめてしまった、郵政の民営化。郵政の株を実は石川さんがちゃんと社長をやってあの枠組みを続いたならば、今年から郵政の株は売り出されているんです。そして、総額はそれは経営者の手腕によりますけれども、最低で5兆円。最高で10兆円くらい。5兆~10兆収入は入ってきたんです。
つまり、国には一時的には財源を確保する収入源はあるというのです。それを使わずにいきなり、なぜ税金なんでしょうか。この話は私は非常に馬鹿げた話だと思います。つまり、民主党は毎年毎年、子供手当に6兆円ちかく使うんですよ。毎年、6兆円のばらまきをやってる政権が1回ぽっきりの10兆円の大変だ大変だといって増税するのは、なぜなんですか。
毎年毎年何兆円もばらまいて、それを国債で今までやってきて、なんの財政の節度も示さなかった政権が今回の復興のためだけっていう事で、まるで、東北の人達を人質に取ったように、この為に税金が必要だというのは、私はその座標軸から全く外れていると思います。繰り返します。それは、一時的な支出、一時的な歳出を確保をすればいい、一時的な歳入を確保する事は国債整備基金の話、そして、郵政の話を考えれば、全然難しくありません。
これいうと、いや国債整理基金をそれはちゃんとお金を積んでおかないと、国債の信用をなくすという風に必ず財務省の人は言うんですけれども、そんなことはありません。国債整理基金などという制度をもっている国は先進国だけで日本だけです。そんな物はありません。普通。何かわけのわからないものを作って、そこで操作できるようには国債整理基金などを作って、それはそれで、今度は返済に備えると言う理由づけに出来ますども、そんなものはなくていいんです。それがなくなったら、信用がなくなるんだったら、他の国は全部信用ありません。そういうのが、あっちこっちにまだある。これが第1の理由です。一時的な支出に対してはそういう事をやる必要はない。
非常に同情を誘うのは、これは皆で負担しなければいけない。皆で負担しなければいけない。これは誠に正しい。これは、皆で負担しなればいけないんです。でも皆で負担する、即増税というのは、誤りです。国債整理基金の12兆円は皆のお金です。だから、あれを使うのは、皆で負担しているという事になります。
たとえば、歳出をカットしてもいい。今3兆円くらい子供手当に使っていますから、子供手当を3年間我慢すれば10兆円を作れます。だからあのお金を歳出を我慢すると言う事も、皆で負担している事です。皆で負担してするという事は正しい、そこから前に進むとポーンと増税に行って、その事を実は日本のマスコミの殆どが増税に賛成です。不思議なマスコミであると私は思います。