会長の部屋
CHAIRMAN'S ROOM
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東京会共同事務所連絡協議会会長 渡辺俊之
全国で67ある公認会計士共同事務所全国連絡協議会ならびに東京会共同事務所連絡協議会主催の第二回研修会が、112人からの申し込みを得て、平成15年9月22日(月)公認会計士会館二階のホールにて開催された。
講師の澤田眞史氏は協会の会務担当副会長として、今回の公認会計士法の改正に深く関わり、関西出身ながら献身的な時間的奉仕をした方で、いわゆる大手監査法人所属でないという点において、今回の研修会の講師として最もふさわしい方であったったといえる。
公認会計士の使命規定(法1)新設の経緯、その意味するところをまず解説し、その後監査人の独立性の強化部分では、監査証明業務と非監査証明業務の同時提供の禁止、そしてその範囲、継続的監査の禁止と「やむを得ない事情」についての内閣布令の定め方の重要性等、小規模監査事務所への影響等を興味深く解説された。
試験制度の見直しに関してはその制度そのものの変更点の解説は当然として、新試験制度移行による今後の影響につき様々な角度から、解説された。
事の本質を捉えた上での鋭い切り込みと、個人的見解をも踏まえた意見は、小規模監査事務所にて監査を行い、かつ税務業務・MCS業務に大きなウエイトを置いていると思われる参加申込者の顔ぶれからすると、大いに満足して頂けたものと確信する。
固定資産会計についての研究では第一人者である辻山栄子氏は公認会計士でもあるが、学者として長い実績を重ね、最近は、出身校でもある早稲田大学の教授へと転身されている。
構造改革の取組みの中での日本型ビックバン。1996年からは、その流れの中での、金融ビックバンと会計ビックバン。その最後の総仕上げが減損会計の導入といえる。
会計的な基準設定の問題意識としては「不動産をはじめ事業用資産の価格や収益性が著しく低下している状況では、これらの帳簿価格が価値を過大に表示したまま、将来に損失を繰り延べているのではという疑念は、財務諸表の社会的な信頼を損ねている。」という点であるが、大きな日本型ビックバンの流れの中でこの問題を捉えなければならない。
減損会計導入の経緯の説明の後、減損の意義、つまり金融資産の時価会計とは異なり、あくまで取得原価主義の枠内で行われる帳簿価格の臨時的な減額であるという点、その後、資産のグルーピング、減損の兆候の判定、減損損失の認識の判定、減損損失の測定、資産の帳簿価格の減額についての解説がなされた。実務的にはグルーピングの仕方や共用資産のトップダウン方式かボトムアップ方式の選択の仕方でかなり影響がある業種も出てきそうでまた悩みが増えたという印象で講を終えた。