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相続により事業を引継いだ場合の消費税の納税義務について

全世界でコロナウイルスの感染が止まらず日本国内でも同様に猛威をふるっています。関東では外出自粛要請が出され不要不急の外出は避けるよう感染防止の策がなされています。自分自身いつ感染するかもわからないので、感染予防に努めたいと考えています。

さて、相続により被相続人の事業を引継いだ場合の消費税の納税義務についてみていきます。(被相続人は課税売上1,000万円超の課税事業者であり相続人は1人とします。)

そもそも相続人が事業を行っていて元々消費税の課税事業者であった場合には、そのまま課税事業者として消費税の納税義務が継続されるだけとなります。

次に、相続人が課税事業者ではなく免税事業者であった場合、例えば給与所得のみのサラリーマンだったところ相続を機に被相続人の事業を引き継いだような場合ですが、この場合にはサラリーマンである相続人の前々年の課税売上はありませんから、消費税の納税義務はないように思われますが、下記の規定により納税義務は免除されないこととなります。

○相続があった場合の納税義務の免除の特例○

その年において相続があった場合において、その年の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である相続人が、その基準期間における課税売上高が1,000万円を超える被相続人の事業を承継したときは、その相続人の相続のあった日の翌日からその年の12月31日までの間における課税資産の譲渡等については、消費税の納税義務は免除されません。(消法10①)

それでは、上記の様に相続人が1人ではなく2人以上の場合はどうなるのでしょうか。相続人が2人以上いるときは、相続財産の分割が実行されるまでの間は被相続人の事業を承継する相続人は確定しないことから、各相続人が共同で被相続人の事業を承継したものとして取り扱うこととされています。

この場合において、各相続人のその課税期間に係る基準期間における課税売上高は、その被相続人の基準期間における課税売上高に各相続人の法定相続分に応じた割合を乗じた金額によるものとされています。(消基通1-5-5)例えば、被相続人の基準期間における課税売上高が2,400万円、相続人は配偶者と子2人であった場合、納税義務の判定に用いる被相続人の基準期間における課税売上高は、配偶者については2,400万円×法定相続分1/2=1,200万円、子2人については各2,400万円×法定相続分1/4=600万円となります。このように、相続後の消費税の納税義務の判定は複雑であるためもし迷われた場合は税理士法人優和までご相談ください。

東京本部 井上賢亮