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不動産所得のある地主さんのように毎年確定申告をしている方が亡くなった場合、その年の1月1日から亡くなった日までの所得について、亡くなった日から4カ月以内に確定申告をする必要があり、これを準確定申告といいます。
準確定申告については、基本的には確定申告と変わりはないのですが、少し注意が必要な点がありますので、ひとつずつを検証してみます。
①家賃収入はどこまで計上すべきか?
原則は例えば11月13日に亡くなった場合、通常11月分家賃について10月末が支払い期限であることがほとんどで、この場合10月末までに受領した11月分家賃までが準確定申告の収入金額となります。
ただし、継続記帳等の一定要件を満たせば13日までの日割計上した家賃分について準確定申告とすることも可能です。
②必要経費となる固定資産税はどこまで計上できるか?
前提として固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に対して賦課されるものですが、納税通知書が送られる前に亡くなった場合、準確定申告の必要経費には算入することはできません。
何となくその年の1月1日に支払義務が確定されているように感じますが、あくまでも1月1日は課税される者が確定されるだけで、その時点で納税義務は確定しておりません。
相続開始前に納税通知書が送付されている場合は、全額でも納期到来分でも納付済み分でも必要経費とすることが可能で、その固定資産税が賦課された財産を相続により取得した相続人がその後、確定申告する際は亡くなられた方が必要経費とした分以外の固定資産税が必要経費となります。いわゆる裏表の関係です。
③扶養控除について
扶養控除については、意外と弾力的な扱いとなっており、例えば年の途中で亡くなられた方の扶養となっていた子は、準確定申告にあたって扶養控除の要件を満たしていれば控除でき、さらに確定申告においてもその子は、扶養控除の要件を満たしていれば亡くなられた方の配偶者の扶養控除の対象にもなることができ、年間で重複して扶養控除の対象者となることができます。
逆に年の途中で亡くなられた方についても要件を満たしていれば扶養される側として扶養控除の対象となります。本来の要件はその年の12月31日の現況なのですが、亡くなられた場合は、亡くなられた時点までの扶養の事実によって決まりまるためです。
④翌年の住民税は?
所得税については、亡くなった年の収入についても課税されるのですが、住民税についてはその年の課税についての賦課期日は、翌年1月1日現在で判定され、その時すでに亡くなっていることから住民税については課税されません。
極端な話、亡くなった年に10億円の長期譲渡所得があった場合でも5%の住民税分5000万円は課税されないこととなります。
以上、準確定申告についていくつかの論点について検証してみました。
埼玉本部 菅 琢嗣