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平成30年4月1日より施行された所得拡大促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の主な改正点は以下となります。
・大企業向け適用要件
青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合に、次の要件を満たすときは、給与等支給増加額の15%を税額控除できることとなりました。具体的な適用要件は下記となります。
① 平均給与等支給額が前年度比3%以上増加していること
② 国内設備投資額が当期の減価償却費の90%以上であること
さらに、教育訓練費増加要件(注1)を満たす場合には、給与等支給増加額を5%上乗せした合計20%の税額控除が可能となります。なお、税額控除の限度額は当該事業年度の法人税額の20%を上限とします。
・中小企業向け適用要件
青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合に、次の要件を満たすときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができることとなります。中小企業向けの適用要件は下記となります。
①平均給与等支給額が前年度比1.5%以上増加していること
さらに、中小企業向けの上乗せ措置として、
(1)平均給与等支給額が前年度比2.5%以上増加かつ(2)教育訓練費増加要件等(注2)を満たす場合には、給与等支給増加額をさらに10%上乗せした25%まで税額控除が可能となりました。この場合も、上記大企業向けの要件と同様に、当該事業年度の法人税額の20%を上限とします。以上が、主な改正点となります。
(注1)
当期の教育訓練費が前期、前々期の教育訓練費の平均の1.2倍以上であること
(注2)
教育訓練費増加要件等を満たすには、次のいずれかに該当する必要があります。
1.当期の教育訓練費が前期の教育訓練費の1.1倍以上であること
2.経営強化法の認定を受け、労働生産性や投資利益率の向上等が確実に行われたものとして証明がされていること。
改正前の適用要件は大企業、中小企業ともに以下のすべてを満たす必要がありました。
1.雇用者給与等支給額が基準事業年度から増加
2.雇用者給与等支給額が前事業年度以上
3.雇用者平均給与等支給額が前事業年度から増加
この改正で今まで基準年度との比較で適用することができなかった場合でも、今回の改正で税額控除の対象となる可能性があります。また、今後従業員の賃上げをする際は、この制度の適用を意識して計画的な賃上げを検討されるのも有効な策であると考えます。詳しくは、税理士法人優和までお気軽にお問合せください。
東京本部 井上 賢亮