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品格から

昨年の新語・流行語大賞は「イナバウアー」とともに「品格」であり、「国家の品格」の著者の藤原正彦氏が受賞をした。

藤原氏は著書に「若き数学者のアメリカ」があるように本来は数学の教授であるが、お茶の水女子大学では読書ゼミを受け持っているという。そのゼミでは受講者が、藤原氏から指定された本を読み次の講義までに感想文を書いて提出し、添削後に返却を受けるという形で進むそうだ。毎年決まって最初に課題図書に選ばれるのは、新渡戸稲造の「武士道」とのこと。なるほど「国家の品格」に武士道がキーワードとしてよく出てくるわけだ。

ためしに新渡戸稲造の「武士道」を読んでみた。
これが完全な口語体のものではなく慣れるまで読み辛い。一度では頭に入らず、二度目になんとか頭に入ってきた。その中の一節。

「弱者、劣者、敗者に対する仁は、特に武士に適しい徳として賞賛せられた。」

新渡戸稲造は倫理の掟としての武士道はともかく、武士道の力はこの地上から滅びることはないであろうと言っている。先人たちの歴史を引き継ぐ以上、日本人のDNAには武士道精神が宿っているはずである。それを意識するきっかけとなる一冊だった。

東京本部 小原