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以前、知人宅に招かれた際に、部屋の中でライトアップされた華やかな水槽に目を奪われた。水槽内には青、赤、オレンジの蛍光色に身をまとった色鮮やかな熱帯魚が優雅に泳ぎまわっている。宝石を髣髴させるこの優美な魚たちを眺めているうちに私もぜひとも飼育してみたいという感情に駆られた。

実際に熱帯魚を飼うにあたり、さほど高度な技術・知識を要することもなく、小さな自然空間をいとも容易く自宅に取りこむことができた。それ以来、帰宅して魚に餌を与えた後、水槽をじっと観察することが私の日課となった。長い時には半時間に及ぶこともある。興味を示さない人から見れば、なんとも暇な愚行に写るかもしれない。しかし、熱帯魚を眺めることによって、一日の仕事で消耗した神経が治癒し、気持ち全体がリラックスしいていくのを感じずにはいられない。

たかが熱帯魚かもしれない。しかし、自然というものと疎遠になりがちな都会での生活だからこそ、たとえ人口的なものにせよ生き物が暮らす自然空間を身近においておくのも悪くないものである。

（2003.6.25　Ｈ.Ｈ.）