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全盛期とは

全盛期という言葉があります。辞書を調べると、「最も盛んな期間」ということですが、プロ野球における、選手の全盛期といえば私は特別なものと考えます。

伝説的な働きをした選手の全ての期間を振り返って、最も優れた成績を残したシーズンだけに、全盛期という言葉が与えられる。「あの選手の全盛期はあのシーズンだったなあ」などと、全てを振り返って初めて与えられる言葉だと思っていました。
ONを知らない世代の私にとって、伝説的な選手の全盛期というのは、落合博満ただ一人しか知りません。
1985年、彼が32歳のシーズンです。その年二度目の三冠王を獲得(通算3回)した彼は打率.367 本塁打52本 打点146と記録的な、いや破壊的な成績を残したのです。実際そのシーズンの彼は凄まじかった。内角低めのボール球をライトスタンド上段に運んだ選手を私は彼以外知りません。 しかしその成績にも多少の裏があります。当時のロッテオリオンズはどうしようもなく弱く、8月には既に消化ゲーム。本拠地球場はあの狭い川崎球場。消化試合と狭い球場、観客は数千人。そのノンプレッシャーの中で彼は全盛期を迎えたのです…。
 
今私は実に17年ぶりに、全盛期を迎えた(迎えたと思われる)選手のシーズンを見ています。
読売ジャイアンツ、松井秀喜である。天才バッターが努力と試行錯誤の末に達した境地であります。
今年限りでのメジャー進出が濃厚と言われる。私に言わせると、ニューヨークヤンキースで4番を打てる唯一の(不世出の)日本人であると思われる。日本で見られる最後であろう松井秀喜、その全盛期を、優勝争い、巨人という人気球団、前後のバッターの弱体化というプレッシャーの中で迎えた不運…。空前絶後の成績は残せないでしょう。しかし、彼の全盛期は2002年であったと、後に語られると思われます。(全て筆者の私見であります)

ちなみに余談ですが…落合博満は1982年に一度目の三冠王を獲得。その翌年には首位打者を獲得しました。その年の契約更改交渉での話。「君は去年三冠王だったけど、今年は首位打者だけだから、年俸はダウン査定だよ」…。首位打者とってダウン査定…なんだそりゃ(笑)

(2002/8/9 T.K)